2011/06/21

NHK教育テレビに足りないもの



日本ではあまり知られていないがイギリスを中心に人気の幼児向けアニメ”Peppa Pig”を観て、日本のNHK教育テレビに足りないものが見つかった。それは「家族」が中心に描写され「家族の愛」がテーマの番組がほとんどないことである。





◆「Peppa Pig」とは
イギリスのPre-School(未就学児)向けTV番組であり、可愛らしい子ブタが主人公のアニメ。昨年家族でイギリス旅行に行った時に放送していたのを偶然観て、気にいったのでDVDを買ってきた。いま我が家の娘(1歳10か月)がこの"Peppa Pig"を夢中で観ている。テレビばかり観せるのは気が引けるが、この時期の子供の英語教育にも良いと思い割と自由に観させていた。

この「Peppa Pig」というアニア、日本ではほとんど知られていないが、Wikipediaによると世界180の国と地域で放送されているという(日本でもカートゥーンネットワークで放送中)。さらに、英国紙Daily Mailによると、本国イギリスで「Peppa Pig」は非常に人気があり、昨年はおもちゃなどの関連商品で2億ポンド(約260億円)を売り上げたとのこと。これはイギリス史上4番目の売上高で、かの”機関車トーマス”を超えているらしい。この人気を背に、アメリカの大手玩具メーカーと契約し本格的に進出する計画だと報じている。という、実は凄まじい人気のアニメだったのだ。





◆Peppa Pigの内容
Peppa Pigの主な登場人物は、主人公の女の子ブタPeppa、その弟George、そしてお父さんとお母さんの4人(匹)。1話5分簡潔で、大人からしたら非常に単純な内容だ。下記はYouTubeで見つけた第一話~三話まで。



娘が毎日必ずDVDを観たいと言ってくるので、一緒になって観ていると、日本の幼児向け番組と随分違うことに気がついた。

例えば、上記YouTubeの第一話はこんな話だ。
主人公Peppaは泥の水溜りが大好きである。水溜りを見つけて飛び跳ねていると、それを見た母親は咎めるのではなく「遊ぶなら長靴をはきなさい」と優しく諭す。泥だらけになって帰ってきた子供に対して父親は決して叱ることはなく「ただの泥だよ。お母さんに見られるまえにキレイにしてしまう」と話しかける。そしてPeppaが父親に言う「お父さん、キレイになったらお父さんとお母さんも泥の水溜りで一緒に遊んでくれる?」。そして、家族みんなで泥の水溜りの中で飛び跳ねて遊ぶ。最後、転んでしまった父親に「そんなに汚しちゃって・・・」という母親。そして、Peppaが一言「ただの泥だよ」と。

なんとも馬鹿げていると思うかもしれない。ただ、この話を観た時にとても深いと感じた。というのも、親からしてみると、まず泥水の中で飛び跳ねるなんて行為はしてもらいたくない。多くの親が見たら、それをしないように諭す、もしくは叱るであろう。また泥だらけになって帰ってきた子供に対して、なかなか「ただの泥」とも言えない。ましては、子供と一緒になって泥まみれになるなんてことができる親がどれだけいるだろうか。

叱ったり諭したりする・しなという文化的な違いを言っているのではない。確かにイギリスの親は日本の親よりも寛容な部分があるかもしれないが、この物語から強く感じられるのは「愛がある」ということだ。上記以外のエピソードを見ても思うが、物語の節々に「愛」を感じることができる。この場合の愛とは「家族愛」だ。

愛の感じかたなんで人それぞれだと思うし、愛の形も人によって異なると思うので、あくまでも主観的な感想である。ただ、「家族」が中心に描写され、心が温かくなるような「家族の愛」が節々に感じられるこのアニメは、日本の教育テレビで観ることがないように思う。





◆NHK教育との違い
始めに断っておくが、決してHNK教育テレビを批判するつもりはない。ただ、Peppa Pigを観て上記のように感じたため、教育テレビのウェブサイトでそれぞれの番組がどのようなテーマのもと制作され放送されているのか興味本位で調べてみた。



この写真は幼児向け番組ウェブサイトのトップから拝借してきたものだ。自分自身も教育テレビを観て育ったが、今は番組数が圧倒的に増えているように感じる。自然を学ぶ、英語、デザインなどバラエティ豊かである。

1つずつ内容を確認するのは難しいので、昔から変わらない「おかあさんといっしょ」を例としてあげよう。番組の中のミニコーナーに”ポコポッテイト”という人形劇がある。昔でいう”にこにこ・ぷん”だ。その内容紹介がサイトに以下のように掲載されている。

大海原にポコッと浮かぶジャガイモにそっくりな島「ぽていじま」。島育ちのやんちゃな男の子「ムテ吉」と都会からやってきた「ミーニャ」「メーコブ」との友情を描き、めげず・へこまず・あきらめず、前向きに生きることの大切さを伝えます。

現代風にアレンジされているが、おそらく根本は昔と変わらない。「友情」を描きつつ「前向きに楽しく生きる」ことをテーマとしているのであろう。これはこれで素晴らしいと思うし、この時期の子供にとっても必要なことだと思う。

ただ、自分が小さいころ観ていた時と、父となり娘と一緒に観ている今も、同じ疑問が頭によぎる。例えば昔でいう"にこにこ・ぷん"には、じゃじゃ丸・ピッコロ・ポロリというキャラクターがいたが、当時子供だった自分がいつも疑問に思っていたのは、じゃじゃ丸はどこから来て誰と暮らしているのか、お父さんとお母さんはどこへ行ってしまったのか、という類のことだった。そんなこと物語の構成上重要ではないのかもしれないが、いつもそう感じていた。そして、それは今の幼児向け番組を観ていても思う。

NHK教育テレビのほとんどの幼児向け番組に「家族」が登場しない、ということだ。
つまり「家族」に目を向けていないので、「愛」というものがどのような形で定義であろうとも、「家族愛」を番組を通して感じることないのである。





◆NHK教育テレビと日本人の家族観
家族観を語れるほどこの分野には詳しくない。ただ、洋画や海外ドラマを観て感じることは、海外の場合「家族の結びつきが非常に強い」ということだ。家族の誰もが、家族を何よりも大切に思っている。この強い家族への想いは、日本人に欠けている部分だと個人的には思う。

どこの調査か忘れてしまったが、世界中の20-30代を中心に「コミュニケーションの重要度」を聞いた調査があった。その中で「最も重要視するコミュニケーションの相手」を聞いたところ、日本では「友人・知人」が1位であり、それ以外の国では「家族」が1位であった。

また、日本では時々家庭崩壊がニュースになる。子供が両親を包丁で指したり、親のスネをかじり続けるひきこもりといった類の問題だ。この問題自体日本に限ったことではないと思うが、朝日新聞によると日本国内のひきこもりの推計は360万人とのことで、これは断突で多いだろう。



話が色々と広がってしまったが、言いたかったことはこうである。

教育テレビの幼児向け番組に、「家族の愛」を感じられるホンワカしたアニメが必要なのではないか。そうした番組があれば家庭崩壊等の問題は多少なりとも減少するのではないか。

NHK教育(Eテレと改名したらしいが)には”Peppa Pig”のような番組を期待したい。なんならそのまま流しても良いと思う。しかも翻訳なしで。英語教育という観点からも、そのまま英語でアニメを放送することは、なによりの教育法だと思うのだが。。。







【編集後記】サザエさんとThe Simpsons
日本におけるアニメとは重要輸出産業品であり、ドラゴンボールやポケモン、キャプテン翼等は全世界で非常に人気がある。そんな日本において国民的アニメと言えば多くの人が”サザエさん”と答えるであろう。サザエさんは、今回の主題と関連して「家族」を描いたアニメである。そんな国民的アニメで家族をテーマにしているにも関わらず、サザエさんが海外で人気があるという話を聞いたことがない。そもそも作者である長谷川町子氏による意向かもしれないが、それでもYouTubeがこれだけ普及している現代では、例え規制が掛かっていたとしても日本で最も人気のアニメが世界で無名のわけがない。では何故サザエさんが海外で流行らないのか?

Googleで検索してみると、多くの人が文化の違いを理由として挙げていた。確かにサザエさんは時が止まったかのように古きよき日本の日常を描写しており、内容も日本人でないと理解できない部分が多い。ちびまる子ちゃんもそのような意味ではサザエさんに近い部分があると思われる。

ただ文化の違いだけが理由なのだろうか。筆者が以前スペインに旅行に行った際、ホテルのテレビで「クレヨンしんちゃん」が放送されているのを観てとても驚いたことがある。調べてみるとスペインでは異様な人気を誇っていたようだ。ドラゴンボールやポケモンのようなある種SFある種的なアニメでもなく、キャプテン翼のようなスポーツという国境を超えられるジャンルではない。クレヨンしんちゃんも、サザエさんと同様に日常を描いたアニメである。

さらに言えば、クレヨンしんちゃんの場合、もともとは大人向け漫画が原作ということもあり下ネタも多いことからアニメに対する批判もある。特に海外では下ネタに敏感な場合が多いため拒絶されがちであるが、この人気はどこからくるのだろうか?



筆者自身、クレヨンしんちゃんに精通しているわけではないので仮説ではあるが、1つはエンターテインメントとして完成されているからではないだろうか。Wikipediaによると、クレヨンしんちゃんの映画のテーマは「大人も子供も笑って泣ける映画」であり、実際に大人からの評価も高いという。実際サザエさんを観て泣いたことのある人はあまり多くないのではないか。

もう1つは、今回のブログ記事とつながるが「家族愛」がクレヨンしんちゃんにはあるからではないか。サザエさんの場合、家族を中心に描いているが露骨に愛を感じるような表現が少ない(それはとても「日本的」なように感じるが)。一方でクレヨンしんちゃんの作者である故臼井儀人氏は、クレヨンしんちゃんを書くに当たり聖書から影響を受けたと語っている。自愛や家族愛といった聖書的な部分がアニメの土台となっている可能性は十分にあり、そこが海外でも人気を得ている秘訣ではなかろうか。




日本の国民的アニメが「サザエさん」であるならば、世界における国民的アニメは「シンプソンズ」である。イギリスのTV局が調査した偉大なる子供向けテレビ番組TOP100で1位に選ばれ、毎週6000万人が視聴しているというモンスターアニメである。

シンプソンズの場合も、過激な表現で時折批判されることがあるが、大人も楽しめるエンターテインメントとして高く評価されている。また、その内容はやはり5人の家族を中心にした「家族愛」を非常に感じることができるものだ。

そのような意味でクレヨンしんちゃんはサザエさんというよりもシンプソンズに近い世界基準のアニメと言うことができるのではなだろうか。




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