
今回は、ここ数日ニュースとなっている、「Facebookのユーザー減少疑惑」について考えたい。
"フェイスブックのユーザー数、5月に米などで減少"
AFPBB News
"Facebookの勢いは衰えず、訪問者数で米4位に――comScore調査"
ITmedia
"フェイスブック、「北米ユーザーが大幅に減少」との指摘に抗弁"
コンピュータワールド
Facebook denies losing users
BBC News
詳しくは上記記事を読んでもらえるばお解かりいただけると思うが、要約すると「Facebook Inside」というサイトが、2011年5月は米国・英国・カナダ等の国でユーザー数が減少しており、米国においては約700万人のユーザーがFacebookを去ったと報じた。しかし複数の調査会社がFacebookのユーザー数は着実に伸びていると報告。最終的にはFacebook広報自らがそのニュースを否定する発表を行った。Facebookによると、5月の米国のユニークユーザー(UU)数が1億5720万人おり、着実にUU数は伸びているということだ。
そもそもFacebookは正式なユーザー数を公表していない。だから様々な外部サイトがあらゆる手立てを使って推測している。そして"ユーザー数が△億人に達した"とか、"四半期で□□万人増えた"というのも、すべては憶測の範囲内である。にも関わらずこれまで静観してきたFacebook自体が公式に反論したことは非常に珍しい。恐らくネガティブな内容だけに火消しに躍起になったのだろうが、その「躍起さ加減」が逆に火に油を注いでいる気がするのは気のせいか。
そのようなFacebook公式ではないが、ユーザー数を発表しているサイトの1つに「Socialbakers」がある。Facebookからしてみたらデタラメな数字かもしれないが、個人的には細かい部分はともかくとして、大雑把に見ればそれほど間違っていないと思う。下記表1がそのサイトから抽出した主要先進国+BRICsのデータである。左の「#」は、国別のFacebookユーザー数を示しており、日本の35という数字は全世界において35番目にユーザー数が多いことになる。また右の「Pen.」はpenetrationの略であり、各国人口におけるユーザーの割合を占めている。アメリカの場合人口の48.4%はFacebookユーザーであることを示している。
表1:主要先進国+BRICsにおけるFacebookユーザー数と人口カバー率(2011年6月)

日本におけるFacebookユーザーは350万人強であり、mixiに比べても約1/6~1/7程度である。日本は今まさに成長期に位置するであろうから多くは語らない。
ここで注目すべきは先進国のpenetrationである。日本を除く先進国においてドイツがやや低いが、その他の国は軒並み非常に高い数値だ。特にアメリカ、イギリス、カナダ、ドイツでは約50%と国民の2人に1人はFacebookユーザーである。
一方でBRICsはというと、全体的に数値が低い。それぞれの国の人口が多いということもあるが、ブラジル・ロシアにおいては日本同様にFacebookがナンバーワンSNSではないことも多いに関係がある。ブラジルは「Orkut」というグーグルが運営するSNSが、ロシアはFacebookに激似の「Vkontakte」が最もユーザー数の多いサービスだ。インドも「Orkut」がこれまでは何ワーワンだったらしいが、去年Facebookが逆転したというのが"通説"らしい。中国はFacebookへのアクセスが禁止されているため数字は極端に少ない。
ただし、上記数字はあくまでも各国の全人口を参照にしている。特にBRICs等ではネット環境が整っていないため、実際はもっと高い数値が出ると思い、独自にインターネット人口を組み合わせた表を作成した(下記表2)。表1に、ネットが利用できる人数と、ネット普及率、そしてネット人口を分母にした「リアルなFacebookユーザー」を算出したものになっている。
表2:インターネット利用率をかけ合わせたFacebookのカバー率(2011年6月)

※ネット人口・利用率はITU(2009)を参照
表2の「REAL Pen.」、つまりネット人口を母数としたFacebookユーザーの割合を見てみると、全ての国で数値が上がっている。特にBRICsの中でもインドは2.4%しかカバー率がなかったが、実際にはネットユーザーの約半数はFacebookユーザーであることがわかる。また、先進国においても、ネットユーザー単位でみた場合、ネットユーザーの最高で3人に2人はFacebookユーザーであることがわかる。
ここでポイントなのが、途上国ではネット利用率がまだまだ50%以下でもあるため、今後インフラの普及に伴ってFacebookユーザー数も増加していくだろうと考えられる。つまり、この先しばらくFacebook全体を見れば途上国を中心に成長が続いていくだろうと思われる。
一方で先進国の場合はどうなのだろうか?人口比率で見ても約50%近くある。ネット人口比率で見るとさらに高い数字で約60%以上である。さらにこれらの国ではネット普及率は今後大幅に伸びることは考えられない。つまり、頭打ちに近い状況にあるのではないか。
よって先進国において今後Facebookの課題となるのは、いかにユーザーを離れさせないでアクティベートし続けることが出来るかである。Gizmodeの記事に"mixi疲れならぬ、Facebook疲れが起きている!?"とジョークっぽく書かれているが、実際は強ち間違いではないと思われる。例えば前述のSocialbakersによれば、アメリカのFacebookユーザーは18歳~34歳が約50%を占めている。友人の動向に敏感で、ゲームにも時間を費やすこの年代の若者たちに一度見切りをつけられてしまうと、Facebookの価値は急落する恐れがあるだろう。
つまりFacebookは彼らに使い続けてもらえるように進化し続けなければならない。一刻のソーシャルゲームブームの一段落して特に目新しい進化のニュースがここ最近はなかったが、昨日TechCrunchがFacebookに関する2つの大きなスクープを掲載した。1つはこのブログでも取り上げた昨今のInstagramの勢いに負け時と、Facebookが本気の写真アプリを開発中であり、TechCrunchによればその内容はかなり期待できるとのこと。
もう1つはHTML5をベースとした新たなモバイル・プラットフォームを開発中とのこと。プラットフォーム戦略
Facebookは途上国を中心に今後もユーザー数を増やし続けるであろうが、今後取り組むべき課題は先進国における長年のユーザーに引き続きFacebookを使い続けてもらうことだ。最近はプライバシー問題等の影響もあり、Facebookにとってユーザー離れが起こってもおかしくない。ただそこはFacebook、世の中の興味を集める画期的な写真アプリと、Appleの牙城を崩しマネタイズのためのモバイルプラットフォームを計画中ということであれば、まだまだFacebookの独占は続くであろう。
一方で、国の人口の半分が使うFacebookは、すでにインフラと呼んでよいレベルである。複数の友人にまとめてコンタクトを取りたいと思った時、仲間うちで写真を気軽に共有したい時に、Facebookは今後も欠かすことができないサービスだ。携帯電話が自宅に置かれていたハンドメイドの電話帳の役目を奪ったように、よっぽどスキャンダラスな事件でも起きない限り、例え上記進化がなくてもこの独占は揺るがないだろうとも思う。
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