今週の記事で気になったニュースがこちら。
デンマークの人気雑貨チェーン店「タイガー」が関西に上陸する。タイガーは食器や文房具を10クローネ(1クローネ=15円)から20クローネの低価格で販売する、いわば「100円ショップ」で、6月をめどにアジア初となる店舗を開業。日本では、若い女性を中心にスウェーデンが発祥の家具大手イケアやカジュアル衣料チェーンのヘネス&マウリッツ(H&M)が人気で、タイガーも北欧の“100均”として旋風を巻き起こしそうだ。タイガーは、デンマークをはじめ欧州9カ国に計86店舗を展開。グラスやマグカップなどの食器、文房具やキャンドル、時計、花瓶から食品まで取り扱いアイテムは約7千点。いずれも色鮮やかで、おしゃれなデザインが人気だ。タイガーの魅力は、何と言っても「価格」。デンマークでは10クローネを中心に20クローネ、50クローネなどアイテムによって4~5の価格帯を設定しており、店を訪れる人のほとんどが商品を購入するという。北欧は冬が長く、家で過ごすことが多いため、特にインテリア雑貨はデザイン性が高いことで知られている。その上、タイガーの雑貨は安いこともあり、若者を中心に人気が高く、今年も新たに約60店の出店を見込むなど勢いもある。(中略)日本初進出となるタイガーにとって“見本”となるのはイケアとH&Mだ。イケアはスウェーデン発の家具専門店で、2006年に日本上陸。低価格でデザイン性の高い家具が人気を集め、各店とも週末は遠方からの来店客も多く、2020年までに日本での店舗数を最大13店に拡大する計画を打ち出している。一方、スウェーデンのカジュアル衣料大手のH&Mは一昨年に大阪・道頓堀に大型店を開業したほか、大規模ショッピングセンターなどへに相次ぎ出店。日本での店舗数を12年末までに現在の約2・5倍にあたる30店を目指している。タイガーも、日本企業にはない「デザイン」と「低価格」という2社と共通する武器を持ち、生産拠点がある中国は日本に近い。日本での成功を足がかりにアジア全土への展開も計画しており、第1弾となる今回の大阪進出には並々ならぬ力を入れている。北欧の「100円ショップ」は、商売にシビアな関西人に受け入れられるのか…。その動向が注目されている。(産経West, 2012.02.04)
北欧の入り口と言われる小国「デンマーク」。著者は2007-08年に2回訪れる機会があった。最初は北欧諸国をめぐる貧乏旅行の途中で偶然発見し、旅行に役立つTシャツや小物なんかを購入。2回目はデンマークの音楽フェス「Roskilde Festival」に行く際、フェスやキャンプ中に役立つアイテムを安価で購入できて、大変満足した記憶がある。
結論から言うと、「Tiger」の日本での成功の可能性は非常に高いと思う。下記に理由を簡単に列記すると共に、参入に辺りバリアとなる課題とその解決の方向性についても記載したいと思う。
◆Tigerのポテンシャル(1) - 洗練された商品
右記はTigerのWebサイトから引用した商品の写真である。ご覧のように、まず眼を引くのは色鮮やかなカラーリングと、洗練されたデザインである。定番の商品であっても、遊び心とクリエイティビティがあり、日本の100円ショップにある安かろう悪かろうというモノとは一線を画す。
商品のラインアップも幅広く、キッチン用品から、オフィス用品、子供のおもちゃやメ化粧品まで、多種多様なアイテムを取り揃えている。
また、デザインだけでなく価格も大変魅力的だ。150円から300円程度が主な価格帯で、大抵のモノが揃えられる。一方で100クローネ(1500円)程度する比較的高価な商品もあるが、それでも一般的なデザイナーズ系雑貨屋で買うよりも大分安い設計になっている
◆Tigerのポテンシャル(2) - デザイン重視時代
やや主観的ではあるが、日本人のデザインに対する受容度や嗜好性が高まってきているのではないかと感じている。元来より、日本人はファッションに対するセンスが高いことは比較的有名であると思うが、ここ数年は特にプロダクトデザインが重要視されている気がする。それはiPhoneやiPodといったAppleであったり、前述のIKEAであったり、海外のスタイリッシュなデザインが手軽な価格で手に入るようになったことが大きいのではないか。商品自体の基本的な機能(例えばデジカメならキレイに写真が撮れる)に満足するだけでなく、所有していて満足する、自宅に置いているとなんだかスタイリッシュな家に住んでいるような気持ちになれる、といった情緒的機能を日本人がより強く意識して購買行動をしている、そんな気がする。
◆Tigerのポテンシャル(3) - 超円高時代
欧州を基軸に展開するTigerにとって、長期化する円高は日本参入の意思決定をする際も重要な指標になったであろうと予測される。ご存知の通り、欧州の諸問題によりユーロは100円前後で推移。デンマーククローネに関しても、著者が旅行をしていた時は、20円代前半であったが、今日現在(2/7)は13.5円まで円高になっている。
◆成功のための要素(1) - パートナー探し
ここからは成功を確実にするための要素を書いていきたい。上記産経の記事で中略した部分に下記のような文章がある。
タイガーを運営するゼブラ社(コペンハーゲン市)は昨年、日本法人「ゼブラ・ジャパン」(大阪市中央区)を設立。アジア第1号店を、大阪にオープンする予定で、現在は出店場所と日本でのパートナー企業を選定している。6月ごろまでのオープンを目指し、1号店が軌道に乗れば、新たに数店舗を開業する方針。このパートナー企業選びは非常に重要である。日本から撤退を決定したテスコについての記事でも書いたことだが、自社にとって有利となるような強力なパートナーと手を組むことは必要不可欠である。日本の複雑な小売・流通システムに長けており、且つ海外ブランドの造詣が深いパートナーが必ず必要になる。
◆成功のための要素(2) - ユニークなポジショニングの形成
100円ショップ市場は成熟市場であり、100円ショップは街に溢れている。さらには近年コンビニや大手スーパーも自社PB商品を進化させて、低価格の商品を多数揃えてきており、業界最大手の大創産業の場合、97年に売上500億円であったが、毎年2ケタ成長で2004年に3000億円を突破。ただし、それ以降ほぼ横ばいの売上になっている。この数字が成熟した業界を物語っていると思われる。
だからこそ、Tigerは競合他社とは異なるポジションで戦わなければならない。商材は幅広く100円だけではないと思われるので、どちらかというと、100円ショップと無印良品やフランフランの間に位置するポジションで優位性を発揮することが重要であろう。
◆成功のための要素(3) - キラーアイテム作り
主軸となる売れ筋商品を見つけ出し、それを基軸に拡大を図っていく。それは成功への近道だ。例えばユニクロの場合、フリースというキラーアイテムは、現在の地位を確立した大きな足がかりとなっている。ブランド認知のない初期段階においては、何か一つ突出したアイテムがあると、それが足がかりとなって広がっていく可能性がある。
◆成功のための要素(4) - 失敗を恐れない勇気
欧米で成功している企業が、いざ日本に来るとやはりローカライゼーションは相当難しいようだ。日本人という特殊な顧客と、様々な規制やバリアのある流通・小売の現状を考えると、グローバル感覚で参入した場合、しっぺ返しにあう。
事実、イケアは1970年代に日本に進出したが、80年代に撤退。2000年代に再び再進出して今のような確立した地位を築き上げた。H&Mもファーストファッションブームと共に日本に上陸したが、ブームが去った後は低迷気味であるが、切磋琢磨している。
最初は一筋縄ではいかないであろうが、先人達の足あとをたどって失敗しないように縮こまってしまっては逆効果なのではないかと思う。日本にローカライズした経営的視点を持ち、Tigerのブランドカラーをどう日本の店舗に反映させられるのか、その辺りが成否のキーであると思う。
関西というハードルが高い商圏に最初に飛び込むのだから、緻密な戦略・戦術が必要不可欠にな
ると思うが、失敗を恐れずに、ブランドの信念を持って望み成功すれば、そこからアジア全域への拡大という輝く未来が広がるだろう。


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