先日、国内最大級の広告/マーケティングのイベント「adtech Tokyo 2011」に参加してきた。回数を追うごとに参加者数が増えているようで、第三回目となる今年は総来場者数が1万人を超える大盛況ぶりだったそうだ。海外からも多くのゲストスピーカーを迎えたこのイベントであったが、中でも特に賑わっていたのが、初日午前中の「日本企業がグローバリゼーションで勝ち抜くためには」というキーノートセッション。サイバーエージェント代表取締役社長の藤田氏、グリー代表取締役社長の田中氏、そしてミクシィ代表取締役社長の笠原氏という日本を代表するネット企業社長3名が一同に集まり海外戦略について話をするというパネルディスカッションであった。
内容はCNETなど様々なブログに書いてあるので割愛するが、やはり海外展開について一歩先を行っているのがグリー、アメーバピグを筆頭に果敢に挑戦しているサイバーエージェントに比べ、社長の人柄の影響もあるかもしれないが、mixiの一歩引いた感じには「大丈夫なのか」という不安を抱いた。
そんな攻勢図は業績にも反映されているようだ。10月末にサイバーエージェントは通期の決算を発表した。営業利益は従来予測を100億円もオーバーする143億5000万円(前期比53%増)の好決算だった。グリーも10月末に第1四半期の決算を発表したが、連結営業利益は166億円(前期は単独の営業利益で62億で、こちらもビジネスが大きく拡大していることを証明した。一方ミクシィは、第2四半期累計(4月1日~9月30日)の連結営業利益は8億5000万で、当初の予測の15%以上低かったと先週発表した。また、同時に来年3月の決算予想を下方修正した。
営業利益が予測を下回った要因としては、東日本大震災による広告出稿減やスマートフォンが予想の予想以上の普及によりモバイル向け広告の売上が減少したためとしている(ITmedia)。ただ、このような外的要因はミクシィに限ったことではなく、業績を大きく伸ばしたサイバーやグリーにも同じように影響しているはずだ。昨今のFacebookやTwitterの勢いもあり、かつてはSNSを独占していミクシィの地位が揺るいできている気がしてならない(あくまでも主観的意見だが)。ついては、今回ミクシィについて考えてみたい。
◆ミクシィの現状
まずは決算発表会の資料がIRページにあったので、その中から現状を伺えるデータを抜粋したい。
| 月間ログインユーザー数の推移 |
このところ著者の周りでは爆発的にFacebookユーザーが増えている。そのせいか、ミクシィアカウントを持っているものの、最近はまったくログインすらしなくなった。周りの知人も同様の人が多い。この図を見るとやはり5月以降はジリジリとログインユーザーが減ってきているのがわかる。Facebookユーザーの伸びと比べてある程度相関性があるのかもしれない。
| 総コミュニケーション投稿数 |
mixiボイスや日記の投稿、写真の投稿など、あらゆる投稿数の総計を表したもの。ログイン数と比例してここ数ヶ月は微減している。
| スマートフォンの月間ログインユーザー数 |
業績予想を下回った要因とされるスマートフォン経由でのログイン数は着実に伸びている。ただ、これはアプリが含まれているのかはこの説明資料からは読み取れなかった。
| PV推移数 |
5月以降PV数は減少しており、50億PV以上下がっていることがわかる。これは、モバイルから情報量の多いスマートフォンユーザーが増えたことや、UIの変更を理由としているが、恐らくそれだけが原因ではなく、やはり利用者が減っているのではないだろうか。
さらに詳しいデータは、garbagenewsに掲載されているので、そちらを参考にしていただきたい。garabagenewsによると、ユーザーとしては10代半ばが増加しており、20~30代が減少しているという。数字的な裏付けはないが、ここ最近のFacebookユーザーの急増が背景にあるのではないかと考えられる。
◆ミクシィはどこへいくのか(所論)
グリーとサイバーエージェントが利益を伸ばしているのに、ミクシィだけがその勢いに続けていない。その理由は諸々あるだろうし、経営が迷走しているような気もするが、1つの理由は上記で挙げたような日本国内におけるFacebookの台頭があるのではないかと疑う。
グリーはゲームにフォーカスしたSNSということで、Facebookとは直接競合はしないのだろう。同じようにTwitterも「つぶやき」にフォーカスしているため、Facebookにも同じような機能はありつつも、両方のアカウントを持ち、使い分けている人が多い。
ミクシィはこれまでは会員制度によりクローズドなSNSであったが、記憶に新しいところで、8月末にミクシィは新しいプラットフォームとなる「mixiページ」を発表。これにより、これまで会員制というクローズドなスタンスをとっていたミクシィは、誰もが閲覧できるオープンな戦略へと転化していった。つまり、Facebookに近づきつつある。ミクシィはこれまでの独自なクローズドなSNSを捨てて、Facebookと真っ向に競合しようとしているのだろうか。
ただ、そうなるとミクシィに分が悪いように感じる。Facebookは今年初頭に電通と提携して以来、既にキャズムを超えて日に日にその勢力を国内でも強めている。これまでミクシィを使っていた20代-30代は、話題のFacebookへとコミュニケーションの場をシフトし始めている。世界で8億人が使うプラットフォームならではのスケーラビリティと話題性で、今後もFacebookはその影響力を国内でも強めていくことが予想される。
そして、Facebookが登場してきてわかったこと、それは一般的な人間にとって、SNSは1つで充分ということなのではないだろうか。これまでミクシィを使っていた人が、Facebookを使い始めると、ミクシィがおそろかになり始める。理由の1つはネットワークの外部性である。SNSの場合、そこにいるアクティブな人間が多ければ多いほど、自分にとってもメリットが多い。自分の周りでミクシィをやっている人間が少ないのであれば、そこでいくら日記を書いてもつぶやいても反応は少ない。逆に多ければコメントも多くもらえるだろし、コミュニケーションが盛んになり、やりがいというのも出てくるだろう。
これは、恋愛と一緒でなかろうか。起用な人は複数人と同時に付き合ったりすることは出来るかもしれないが、たいていの人にとっては相手は一人いれば充分なのである。先に述べたグリーやTwitterは、そのコンセプトが異なるので、同時に使い分けたりできる。ただ、Facebookやミクシィの場合は、よっぽど器用でない限り、2つを同時に使いこなせないし、そもそも必要もないというわけだ。
話は長くなったが、ミクシィはFacebookと同じオープンなプラットフォームという土俵で戦うべきではないと思う。Facebookのライバルとして果敢にデビューしたGoogle+も、最近アクティブユーザーが大幅に減少しているなど、あまり良い話を聞かない。これもSNSが1つで良いということを裏付けしているだろう。現状Facebookを使っていれば、よっぽどの理由がない限り、機能的に差がないGoogle+に乗り換える必要はないはずだ。
Facebookやミクシィ、Google+のような「いわゆるSNS」というのは”Should I stay or Should I go”、つまり「そのSNSに留まるのか、それとも乗り換えるのか」という選択肢しか多くの人にとってはないのだろう。
ただ、Google+には未来があると思う。なぜなら、Googleの持つ様々な資産(Gmail~YouTube等)と融合することができるため、Facebookとは異なる独自性を築くことができると思う。実際に、Google+はそのような連携を最近強化し始めている。これに比べミクシィはどうなのであろうか。
今回の決算説明会の資料によると、今後いくつかの新サービスが立ち上がるようだ。資料はかなりザックリとした概要だけしか書かれていないため、詳細がどのようなものになるのかは不明だが、いくつか面白いものもあるようす。以下、資料に書かれていたサービスを列記する。
・mixiゲーム
11月15日よりモバイル版「mixiアプリ」のゲーム系アプリを切り出し「mixiゲーム」として提供開始
・m AD
個人でもミクシィ上に広告を出稿できる。クレジットカードを使い少額から可能
・mixiページ課金ビジネス
友人のフィードからmixiページに移動し商品を購入すると売上一部をバックするアフィリエイト
・mixiゲーム
11月15日よりモバイル版「mixiアプリ」のゲーム系アプリを切り出し「mixiゲーム」として提供開始
・m AD
個人でもミクシィ上に広告を出稿できる。クレジットカードを使い少額から可能
・mixiページ課金ビジネス
友人のフィードからmixiページに移動し商品を購入すると売上一部をバックするアフィリエイト
個人的にはmADが気になる。ミクシィはソーシャルアドにいち早く着手している。Facebookは広告に対して消極的なスタンスだからミクシィの強みの一つは広告であるとも言える。ただ、これは消費者視点にたっての強みではないし、何よりミクシィ自体に魅力がなければ、広告は成り立たない。
いまのFacebookは一過性のブームかもしれない。ただ、一度ミクシィを離れたユーザーが、元の鞘に収まるのだろうか。個人的には、ミクシィならではの強みをもっと強化すべきだと思うし、何が何でもFacebookと同じオープンの道をたどるのが正しいとは思わない。ミクシィはティーンや20代前半に圧倒的に支持されている。他はともかくこの層だけは失うわけにはいかないだろう。そのためにも、何か確固たるミクシィの機能なりサービスなりを早急に用意する必要があるだろう。それは、ゲームや課金など、他社がやっていない独自のものが望ましいはずだ。
ミクシィの歩む道は、どこへ通じているのだろうか。

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