
instagramとはiPhone用の無料写真アプリである。
AppStoreには無料有料合わせて6722の写真系アプリがあるが、
その中でも常に「無料アプリ」の上位にランクされている。
(2011年5月24日現在)
では、insagramは、どのようなことができるのか?
基本的には非常にシンプルなアプリであり、
主な機能として、下記の3つがある。

1)
いくつものフィルター機能を持っており、
モノクロやトイカメラ風の写真に
1タッチで加工できる。
2)
SNS的な機能があるので、
友達の写真にコメントを残せたりもする。
また、加工した写真をオンライン上にアップし、
世界に向けて自分の写真を発信できる。
3)
様々なサービスと連動している。
加工した写真はFacebook、Twitter、Flickrなど、
自動で他サイトへの投稿も可能。
2010年10月初頭に公開されて以来、
日本でもすぐに話題となり、
その後驚くほどのスピードで成長している。
以下Tech Crunchの記事を使って
わずか半年と少しの間に起きた軌跡を振り返ってみる。
・公開後6日間で10万人のユーザー、3か月で100万ユーザー獲得
・公開後2ヶ月で日本語を含む複数言語に対応
・公開後3ヶ月でNBC News、Playboy、Pepsi、CNN、Starbucksも参入
・2011年5月現在のユーザー数は425万人。毎秒平均10枚の写真がアップロードされている
この短期間で驚異的なスピードで拡大しているのがわかる。
そして別に記事で、さらに驚くべきことがわかった。
instagramの生みの親でCEOのKevin Systromによれば、
ユーザーの50%は米国ユーザーだが、25%は日本のユーザーでありとのことだ。
ということは、単純計算でも、日本におけるinstagramユーザーは
100万人以上いることになる。
確かに、周りをみてもinstagramを使っている友人・知人は多い。
アメリカのスタートアップ企業のアプリに、
これほど俊敏に日本人のユーザーが反応したものということも
かなり珍しい気がする(Viberが当てはまるかもしれないが)。
というわけで前置きが長くなったが、今回は特に日本市場において
この驚異的な成長を遂げたinstagramが、なぜ人々の心を得たのか?
なぜ他のアプリではなくinstagramだったのか?
instagram成功の秘訣をを今回は考えていきたい。
◆成功要因1:シンプルさ
先にも書いたが、instagramが、
写真を加工して共有するという非常にシンプルな機能に特化していることである。
ただし、これだけであれば他にも同様のアプリがあるだろう。
だがinstagramの場合、UI(操作性)もまた非常にシンプルであり、
加工・共有の流れが簡単だったこと寄与したと思う。
使ってことがある方なら分かると思うが、操作性が非常に直感的でありストレスがない。
100万人規模のサービスにおいて、シンプルはとても大切なことだと思う。
◆成功要因2:写真共有のしやすさ
詳しいデータがないので、肌感覚の部分も多いが、
instagramを使っているiPhoneユーザーの場合、
FacebookやTwitterを同時に使っている人も多いのではないだろうか。
また、それだけでなくTumblrやFlickr、Foursquareなど、
あらゆるソーシャル系のサービスを並行利用している人も少ないと思う。
instgramは、上記ソーシャル系サービスとの連動が非常にスムーズで
写真の共有が驚くほど簡単である。
さらに、ユーザーニーズのなかにはもともと
複数ソーシャルサービスに写真を同時にアップしたい、
またはこの子供が写っている写真はFacebookで、パーティの写真はtwitterという感じで
サービスごとに写真を別けてアップしたい、
という両極端なことも、シンプルな操作だけで簡単に出来る。
このことは、特に米国あたりのユーザーから絶賛されているようだ。
◆成功要因3:ソーシャル機能
上記のように、Facebookなどの他社サービスとの連動も得意だが、
そもそもinstagramにもソーシャルなサービスが備わっている。
友人をフォローできたり、お気に入りの写真についているlikeボタンを押すことができる。
FacebookやTwitterと違って写真のみならば、
英語の苦手な日本人でも海外の人でも気軽にフォローが出来る。
このソーシャル機能が日本人に受け入れやすいものだったのではないだろうか。
◆成功要因4:写真の加工
写真加工アプリは、iPhone登場以来から様々なアプリが登場しており、
アプリランキングでも常連である。
ただ、エフェクトが10種類以上あるのに無料であったこと、
これは他にはない競合優位性であったのではないか。
また、写真の加工というのが、日本人のカスタム好きにフィットした気がする。
例えばプリクラをデコレーションする、洋服をカスタムするような感じで、
ファッションのように自分の撮影した写真をかっこ良く加工したり、
自分を良く見せたいという延長線から、自分が共有する写真もスタイリッシュでありたい
という日本人ならではのインサイトに、見事に応えたのがinstagramだったのではないか。
以上、4つの理由がドンビシャにバランスよく科学反応を起こし、
日本人にフィットした結果、受け入れられたのだと思う。
そもそも、日本人は写真が好きな人種である。
一昔前の海外の映画に登場する日本人の姿=出っ歯、メガネ、手提げカメラだったように
それは世界中の人にとって有名なことだった。
海外に旅行に行った際に写真ばかり撮影している日本人の姿が
このようなペルソナを創り上げたのだろう(今では中国人がそのポジションにいる)。
現在世界中で愛されているカメラの多くはキャノンやニコンといった日本製であり、
現在の家電量販店だって、〇〇カメラという名前から分かるように
カメラ店として始まった。
つまり、カメラは日本のお家芸であり、日本を代表するプロダクトである。
そのような環境下で暮らす日本人にとって、写真に対する思い入れも強い。
ただし、デジカメが誕生以来、写真1枚の価値は急激に下がったのではないかと思う。
枚数を気にせず、何枚でも撮り直しが出来るデジカメによって、
写真はプリントするものから、PCに保存するものへと変化した。
アナログのころは、現像所から戻ってきた写真を取り出す際の高揚感、
例えるなら気になっていた漫画の続編を初めて読む、
好きなミュージシャンの新譜に初めて針を落とす、
そんなドキドキがあったと思う。
それが、デジカメの登場以来まったくなくなった。
また、プリントされた写真を選び、アルバムに収めるという工程もかつてはあったが、
それもPCというハードディスクの中に、そのまま放置されるような形で格納されつつある。
10代~30代の若者世代に限れば、
80%強が撮影した写真は現像しないそうだ(株式会社ゲイン調べ)
つまりデジカメの登場のよって、撮ることに満足を覚え、
かつてのように撮影した写真を愛でるようなこともなくなってきているのではいか。
しかしながらinstagramの登場は、
このような写真の価値の低下した現状を大きく変えるものだった。
例えば、すごく感動的な被写体を見つけたときに、
・その1枚をどうすれば自分の感動が伝わるように撮影できるだろうか、
・この写真を公開すれば、どんな反応が返ってくるだろうか、
・このエフェクトを使ったら、もっとオシャレな写真になるのではないだろうか、
など、
1枚の写真に対して真剣に考え、ワクワクしたりしながら、
楽しみながら写真を通して人とコミュニケーションできる。
instagramは、写真の価値をアナログ時代の時のように高め、
さらにはネットというバーチャルな世界を活用することで、
世界中と写真コミュニケーションを実現するハブになった。
◆まとめ
以上が、日本でinstagramが成功した要因だ。
非常に優れたサービスであり、日本人との相性は良い。
今後の展開がとても楽しみである。
instagram自体、現在4名しか従業員がいないとのことだが、
企業という観点から見ても非常に優秀な企業なのではいだろうか。
ユーザー数の急増もさることながら、
日本語化への対応や企業の参入も短期間で行われている
このスピード感が、目を見張る点であると個人的には思う。
優れたサービスというのは、グローバル経済のもとでは
驚異的なスピードで人や企業を惹きつけて成長していくのだろう。
そういう意味では、サービスを提供する企業(この場合instagramを運営する会社)は、
さらにスピーディに一歩先をゆく付加価値を提供し続けなければ、
フォロワー企業に一気に出し抜かれかねない気がする。
課題という面では、収益化がまずあげられるだろう。
このサービスをどのようにマネタライズして、
ビジネスとしてどのように発展させていくのか、
また機会があれば考えたい。
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